騎馬が一騎、乱闘から出てきて、串刺しで地面に縫い留められた、ウォードの元へとやってきた。
馬上で彼に背をかがめ、うなだれた後頭部を鷲づかむ。
「よかったじゃねえかよ、男になれて」
赤いピアスの短髪の手が、ぐりぐり手荒になでている。
子供にするように。慈しむように。
──助けないと。
まだ、間に合う。
きっと、まだ間に合うはず。これまでだって、やってきた。自分になら、できるはず。
粛然と安らかなあの場所で、彼を──
『 忘れていいよー 』
オレのこと。
鐘が鳴り響いている。
鐘が鳴り続けている。果てのない天の高みで。
セカイの終焉を覚えている?
これが、お前の望みじゃないのか?
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