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サンタさんの おくりもの 〜ぐるぐるの森のクリスマス〜

サンタさんの おくりもの 



〜 ぐるぐるの森のクリスマス 〜

 
 
 トナカイのソリが、空をすべっていきました。
 ソリの上には、まっ白なおひげと、まっ赤な服のサンタさん。トナカイの綱をとりながら、しゃんしゃん、しゃんしゃん、かろやかに鈴を鳴らしています。
 だって、今日はクリスマス。年に一度の、はれ舞台ですもの。
 
 ぱんぱんにふくれたサンタさんの袋から、ぽーん、とひとつ、プレゼントが飛びだしました。
 ひゅううん! と地上に落ちていきます。
 空をかける鈴の音が、空にとけて消えていきます。
 ぐるぐるの森の、だあれもいない草みちに、赤いリボンのかかった箱が、ぽつん、とひとつ、とりのこされました。


 

 赤いリボンの箱に気づいて、スズメがちゅんちゅん、まいおりました。
 ごま粒みたいに小さくなった、赤いコートサンタさんが、空の高みで手をふりました。
「みんなで、なかよくね」
 赤いリボンのこの箱は、きっとクリスマス・プレゼントです。
 スズメはすっかり、うれしくなって、三角のくちばしで、リボンをかじって引っぱりました。
 するり、とリボンがほどけました。
 箱は、きれいな紙で、くるまれていました。スズメはおろおろ、自分の翼の両手をみます。
 さあて、こまった。どうしましょう。


 

「ねえねえ、スズメさん。どうしたの?」
 長いしっぽをくるりとあげて、リスが、ちょろり、とやってきました。
 スズメは、こまって言いました。
「サンタさんのプレゼント、リボンはどうにか、とれたんだけど」
 くちばしでツンツンつついても、きれいな紙は、はがれません。
「それなら、わたしにまかせておいて。そういうのは得意なの」
 自慢のしっぽをふりふりし、リスは胸をたたいてうけおいました。
 箱をおおうきれいな紙を、爪でバリバリかきむしります。
 箱のてっぺんにはふたがあり、それは、ぴったりしまっていました。箱のてっぺんは、二匹の頭より上にあるので、どちらも手が届きません。スズメとリスは、うろうろ箱を見あげます。
 さあて、こまった。どうしましょう。

「やあやあ、なにをしてるんだい?」
 あたりをきょろきょろ見まわしながら、キツネがそろそろ、草の道ばたからやってきました。
 リスはこまって言いました。
「サンタさんのプレゼント、リボンと紙はとれたんだけど」
 今みたいに爪でバリバリ引っかいたら、中身に傷がついてしまうかもしれません。
「それなら、ぼくにまかせておいて。ぼくにかかれば、ちょちょいのちょいさ」
 キツネは胸をたたいてうけおいました。
 とんがった口を、ふたの下にさしこんで、ぱこん、とふたを押しのけます。

 
 ぽっかり、ふたがあきました。
「なんだろうね?」
 スズメとリスと、そしてキツネは、三つの頭をよせあって、ほくほく箱をのぞきます。サンタさんからのおくりもの、何が入っているのでしょう。
「うわあ! おいしそう!」
 三匹の顔がほころびました。
 箱の中にはいっていたのは、まん丸の、おいしそうなケーキでした。どっさりかかったクリームに、赤いイチゴがのぞいています。
「でも、どうしようか」
 スズメが、うかない顔をしました。
 ケーキは一こしかありません。リスのしっぽくらいの大きさの、まあるいケーキが一こきり。
 なのに、箱をあけたのは、スズメとリスと、そしてキツネの三匹もいるのです。
 さあて、こまった。どうしましょう。
 
 ふぅ、とスズメが、ため息をついて言いました。
「これはリスちゃんがおあがりよ、だって、ぼくは、リボンをとっただけだもの」
 リスはぶんぶん、首を横にふりました。ひょい、とおとなりの顔をみます。
「だったら、キツネ君がおあがりなさいな。だって、わたしは、紙をやぶいただけだもの」
 キツネはぶんぶん、首を横にふりました。ひょい、とおとなりの顔をみます。
「だったら、スズメ君がおあがりよ。だって、リボンがかかっていたら、この箱あけられなかったもの」
 さあて、こまった。どうしましょう。 


 

 ぴゅうぅっ! 
 
 へんな音がどこかでしました。
 みれば、箱の中のケーキです。
 それは、ぷぅーっ、とふくれあがって、紙のかべを押したおし、みるみる大きくなっています。
 三匹がびっくりしている間に、それは大きなケーキになりました。どれくらい大きいかというと、キツネが横に三匹ならんだくらいの大きさです。
 
「なにごとだい?」
 へんな音を聞きつけて、森の仲間がわいわいがやがや、やってきました。サル、とり、タヌキ、ウサギにオオカミ、そして、冬眠中の黒いクマまで寝ぼけまなこをこすりこすり、穴の中から、はいでてきます。
「わあ、大きなケーキだね」
 どーん、と道からはみだした、ほっかほかのケーキを見て、みんなは目を丸くしました。
 黒い毛皮の大きなクマが、ぶっとい指をもじもじくわえて、不安そうにききました。
「ぼくもケーキ、食べていい?」



 箱を見つけたスズメとリスと、そしてキツネは、こまった顔で腕ぐみしました。
 だって、クマのあの口で、ぱっくり食べてしまったら、たちまちなくなってしまいます。クマは食いしんぼうで有名ですから、みんなはほんのちょっぴりしか食べられなくなってしまうでしょう。
 けれど、クマは、大きな木を切りだして、川に橋をかけてくれました。悪い猟師がやってきた時にも、うんと恐いお顔を作って、森から追いはらってくれました。そのことは、三匹だって知っています。
 そりゃあ、時にはハチミツをなめて、ハチにおこられたりもしますけど。
 うう〜ん、と三匹は考えました。
 そうして、たっぷり悩んだすえに、クマの方をふりむきました。
「もちろん、いいよ。みんなで食べよう」
 
 ぴゅうぅっ! ぽぽぽぽんっ! 
 
 大きな音が、どこかでしました。
 みんなのまん中のケーキです。
 それは、ぷぅぅーっ、と四方にふくれて、どんどん道からあふれていきます。
「わ! あぶない! みんな逃げろ!」
 みんなが慌てて逃げるうちにも、それは、むくむくむくむく大きくなって、ぼん! ぼん! ぼよよ〜ん! と辺りをおおい、そうして、とうとう
 
 どどーん! 
 
 ほかほか湯気の立つ、巨大なケーキになりました。
 どれくらい大きいかというと、ぐるぐるの森のまん中にある 「 まんまる池 」 くらいの大きさです。



 

 みんなの顔が、わっと笑顔にほころびました。
 さっそくケーキにとびつきます。あっちでガツガツ、こっちでむしゃむしゃ。こんなに大きなケーキなら、みんなで食べても大丈夫です。
 笑い声をききつけて、地下のおうちでぬくぬくしていた、アリの一家がやってきました。隊列をくんで一列になって、ケーキのかけらを、せっせせっせとはこびます。
 大きなケーキはどうしたわけか、食べても食べても、なくなりません。
 あーん、と大きく口をあけ、ぱっくり、かじって、とったそばから、もっくり、もりあがってくるのです。
 
 やがて、おなかがいっぱいになって、ケーキにつどった森の仲間は、わいわいがやがや夜まで楽しくすごしました。
 それは、サンタさんからの、おくりもの。
 今夜はハッピー・クリスマス。

 おしまい 



〜 サンタさんのプレゼント 〜
 
 
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