はじめは、きのせいかな、っておもったんだ。
みんなのまえでは、いつもみたいにしゃべっていたし。
でも、みんながこっちをみてないと、ゴウダくんが、ぼくのあしをけってくるんだ。
みんなのまえでは、いつもみたいにしゃべっていたから、なんとなく、もんくをいいそびれた。
いちど、いいそびれると、いいにくくなって、そうしたら、ずぅっと、いえなくなった。なんだか、わからないけど、いえないんだ。
ゴウダくんは、ますます、ぼくのあしをけってくるようになった。
ぼくは、ごはんがたべられなくなった。
だいすきなカレーをたべても、なんでか、ちっとも、おいしくない。
よるもあんまり、ねむれなくなった。
でんきをけして、ふとんにはいると、ゴウダくんのことをおもいだして、くやしくって、くやしくって、くやしくって、くやしくって、ねむれない。
でも、ゴウダくんは、おんなじグループのともだちだから、いっしょにあそばないといけないんだ。
ゴウダくんのことなんか、かんがえたくないのに、あたまのなかは、いちにちじゅう、ゴウダくんのことで、ぐるぐる、ぐるぐる。
ずっと、こんなのがつづくなんて、ぼくは、ぜったい、いやなんだ。
まえみたいに、なかよく、みんなとあそびたいんだ。
どうして、こんなことに、なっちゃったんだろう。
ぼくは、ふとんをひっかぶって、そのことを、ずっと、かんがえた。
ずっと、ずっと、あさになるまで、かんがえた。
あるひ、おかあさんがきいてきた。
「どうしたの? あなた、さいきん、ようすがへんよ?」
なんでもない、とぼくはこたえた。
だって、ゴウダくんのことをいいつけるなんて、なんか、かっこわるいじゃないか。
でも、それなら、いったい、どうしたら、いいんだ?
こんなのは、いやなんだ。
ぜったい、ぜったい、いやなんだ。
だって、ぼくは、なんにも、わるいことなんか、していない。
「よし!」と、ぼくはけっしんした。
つぎのひ、いつものように、ゴウダくんが、ぼくのあしをけってきた。
みんなは、やっぱり、きづいていない。みんながみてないときをねらって、ゴウダくんは、けってくるからだ。
ぼくは、したっぱらにちからをいれた。
そして、おおきく、いきをすいこんだ。
「どうして、そんないじわるするの!」
みんなにきこえるように、わざと、おおきいこえで、いってやった。
ゴウダくんは、びっくりしたかおで、ぼくをみている。めをまるくして、そして、ちょっと、いやそうなかおで、にらんだ。
ほんとうは、ちょっぴり、こわかったけど、ぼくはまけずに、ゴウダくんをにらんだ。
「ぼくのあし、けるの、もう、やめてよ!」
だって、ぼくは、なんにも、わるいことなんか、してないんだ!
「そんなことしちゃ、いけないんだぞう!」
みんながくちぐちに、ゴウダくんにいった。
ゴウダくんは、こまったように、みんなのかおをみまわした。
そして、はずかしそうにうつむいて「もう、しない」といったんだ。
おしまい
〜 ぐるぐる、どっかん、またあした 〜
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