原野の木陰で腕をくみ、傭兵が体を休めていた。 編みあげ靴の足を投げ、無言で目を閉じている。 一面にひろがる青草に埋もれ、スズメがちゅんちゅん跳ねていた。 木根に置いた革の上着に、木漏れ日がちらちら揺れている。 旅に、出ていた。 あのとき窮地を救ってくれた、黒い髪の傭兵と。
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