【ディール急襲】 第3部2章  
 石が示した反応は、三者三様に異なった。
 非礼を詫びた西の者には、ひどく冷淡な態度を示し、
 翠の瞳の憤りには、不可抗力、とおろおろなだめ、
 獣の瞳の誰何すいかには、あからさまに怯えを示した。
 
 その三者に共通したのは、石を "月読─つくよみ─" と呼んだこと。
 石は、いずれをも、こう呼んだ。
 狭間はざまで生じし "禁忌の者よ"
 
 
 瞼を閉じれば "あわい"に通じる。
 だが、そこは浮動の常闇。
 一歩で辿りつける者もいれば、
 数万の時を費やして、端にも立てぬ者もいる。
 
 "あわい"は命の生まれるところ。
 そして、やがては還る場所。
 
 
 

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