石が示した反応は、三者三様に異なった。
非礼を詫びた西の者には、ひどく冷淡な態度を示し、
翠の瞳の憤りには、不可抗力、とおろおろなだめ、
獣の瞳の誰何には、あからさまに怯えを示した。
その三者に共通したのは、石を "月読─つくよみ─" と呼んだこと。
石は、いずれをも、こう呼んだ。
狭間で生じし "禁忌の者よ"
瞼を閉じれば "あわい"に通じる。
だが、そこは浮動の常闇。
一歩で辿りつける者もいれば、
数万の時を費やして、端にも立てぬ者もいる。
"あわい"は命の生まれるところ。
そして、やがては還る場所。
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