【 thanks-SS.02-080226 】 『ディール急襲』第U部 第3章1話「心の在りか-03」終了時
 
 

〜 後 日 談 〜
第2部3章1話〜心の在りか〜3

 
 ファレスはジロジロそれを見た。
「なんなんだよ、その手はよ」
 エレーンは、むふふん♪ と笑って、上向きにした手を更にグイと突き伸ばす。「占って!」
「……あー?」
 テクテクついて来たエレーンの上機嫌なお口の中には、ピンクの " はあと " が浮いている。
「ほらあ、早くぅ! 得意なんでしょおー?」
「……。(誰が、何を、得意なんだよ)」
 脱げそうになるほどシャツをグイグイ引っ張られ、裾をシッカと掴んで全力で踏ん張る件の黒髪の"お荷物"を、ファレスは脚力のみでズリズリ引き摺り、胡散臭げに歩き出す。類似のスキルはままあれど、そんな怪しげなキャリアなど、持った覚えはどこにもない。開業予定も一切ない。エレーンは両手を広げて大合唱。
「早くぅー早くぅー、ねー早くぅー♪」
「──知らねえよ、そんなもん」
 ファレスはシャツの裾を舌打ちで鬱陶しげに奪い返す。むぅっ、とエレーンが口の先を尖らせた。
「なによお。もしかして、お金とか取る気ィー?」
「あ──?」
 訊き返そうと思った時には遅かった。
「せっこーい! ガメツ〜イ! 信じらんな〜いっ!」
「……」
 ぶーぶーけちょんけちょんに非難されるも、しかし、ファレスにはまったくもって理解不能である。そして、元より良好とは言い難い ( 内容的に ) 真っ黒けっけな履歴書に " ケチんぼ " との不名誉な称号までもが、奥方様の達筆な手により書き足されることと相成ったのだった。実は、かの短髪の首長が余計なことを吹き込んでいた、などとは預かり知らぬファレスである。


─ おしまい ─
 
 
 
 

 お粗末さまでございました。  (*^o^*)
 
 
 

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