番外編 「メガネちゃん狂想曲」 オマケ
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 ちなみに、その頃、調達班の倉庫では

「──どーしたんだ、あれ」
 調達班の部下一同、ひそひそ囁きかわしていた。
 視線の先には、彼らが首長ジャック=ランバートその人の姿。にへら、と頬杖で笑み崩れ、へらへら首を振っている。ぐっふっふっ、と顔面崩壊でほくそ笑み、今にも机に溶け出しそう。
 そして、頬杖ついた肘の横には、百本以上はあろうかという真紅の薔薇の巨大な花束。
 一人が軽く肩をすくめた。「なんでも、プロポーズに行くんですと」
「は。今度は誰んとこに」
「どこぞの男爵家の令嬢とか」
「どーせ、いつもの妄想だろ」
「けど、ゆうべの現場で会ったとかなんとか」
「あ?──てことはラトキエの?」
「で、カシラが言うにはその女、まともに話を聞いてくれたとかなんとか」
「は? そんな女、この世にいるかよ」
「いや、待て。その話が本当だとすると、だ」
 ふむ、と一人が腕を組む。「カシラもうまくやれば男爵様ってことなんじゃ──」
「「「 ないない。ありえねえだろ 」」」
 一同、ぶんぶん一斉に手を振る。即刻却下。
「一人じゃ飯も食えねえんだぜ?」
「飲み屋の姉ちゃんにカモられてんだぜ?」
「ガキ大将に苛められる人だぜ?」
「妄想のままに爆走して、領邸にスキップで押しかけてみろよ。変質者だって突き出されるのはともかく、けちょんけちょんに女に振られて、イジケて引きこもるのがオチだって」
「……う゛っ。又かよ。勘弁してくれよ〜」
「前の時には、ひと月ふとんから出てこなかったぜ」
「それに、今カシラにイジケられてみろ。これから本隊が移動するってのに、膨大な在庫をどうさばく。何がどこにどれだけあるか、俺たちだけじゃ、お手あげだ」
「だな。とくれば」
「「「 まあ、やる事は、、、、ひとつだな 」」」
 うむ、と一同、大きくうなずく。
 いそいそチョビひげの手入れをする、つばの広い帽子の背中に、トンカチ片手に忍び寄った。
 
 

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