CROSS ROAD ディール急襲 第2部 3章 interval 〜 宴 〜
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 無骨な土足で踏み荒らされ、椅子やテーブルが引っ繰り返された木の床で、女はぐったりと横たわり、もうどんな悲鳴をも上げてはいない。虚ろなその目は塗料の剥げかかった青い木壁へと向けられているが、泣き枯らしたその瞳は、如何なる意匠をも捉えていない。
 町を荒らす砂風に煽られ、塗装の剥げ掛けた木枠の窓が、バタン、バタン、と不規則な間隔で音を立てている。窓辺に吊られたカーテンが、端に寄せられ、西日を鈍く透過した。交代で下ろしたズボンを引き上げ、身支度を終えた野戦服達は、立ち去る肩越しに冷ややかな一瞥をくれただけで、笑い合いながら部屋を出て行く。
 赤に染め上がった西日の部屋で、舞い上がったカーテンの裾だけがバタバタ煩くはためいた。
 熱狂の宴は通り過ぎ、女は床に転がったまま空虚な体を晒している。虚ろな瞳は瞬きさえしない。女の唇が微かに震えた。
「──殺してやる」
 閑散と冷え切った木床の底に、乾いた呪詛が、ポツン、と落ちた。
 
 
 
 
 

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