CROSS ROAD ディール急襲 第3部 1章1話4
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 女児が突然むずかった。
 顔をしかめて肘をつっぱり、身をよじって腕から抜け出す。
「お、おいっ!?」
 ダドリーは鋭く息を呑んだ。
「だめだ! そっちは!──おいっ! お前っ!」
 軍服の副官めがけて、少女は一心に駆けていく。
 その背を、副官が引っかかえた。
 両腕で娘を抱きとり、小さな頭をかかえこむ。「おお! よちよち! マリーベルぅ〜!」
 ダドリーは固まった。何が起きたか分からない。
 めがねの副官が目尻を下げて、にへら、と笑って振り向いた。「かわいいだろ! 俺の娘ぇっ!」
「──あんたの、むすめ!?」
 ダドリーはあんぐり指さした。
 返す言葉をしばし失い、へらへら笑いの眼鏡に言う。「あ、いや──だって、この子は、あの日、門前で人質に」
 マリーベルが、ぷいとふくれて、副官の首にしがみついた。
 銀縁めがねの耳元で、拗ねたように口の先を尖らせる。「マリーベル、パパのこと迎えに行っただけだもん。でも、ちっとも帰ってこないからあ〜」
 とっさに口調が素に戻り、それを責められたように受けとったらしい。
「そ〜か〜。ごめんよ〜マリーベルぅ〜」
 副官がでれでれ目尻を下げた。口をすぼめた赤面で、娘の頬をすりすりする。「でも、おんもは危ないから、もう迎えにこないでくだちゃいねえ〜?」
 あぜんとダドリーは棒立ちになった。あのクールでキレ者の副官が、すっかり骨抜きにされている。つか、なんだ。あの恍惚の表情は。
 そのあるまじき醜態に、しばし、なすすべもなく立ちつくし、我に返って頭を掻いた。
「……あのナマズ。敵も味方もねえのかよ」
 つまり、門前にいた兵たちとマリーベルは顔見知りだった、ということだ。
 ようやく、これで腑に落ちた。あの時、兵の反応が奇妙だった理由が。味方であるはずの指揮官に、なぜ、ああも懸命に取り成そうとしていたのか。あのおろついた表情は、芝居などでは決してない。そう、あの男、、、に渡った人質が、この副官の娘だったからだ。
 副官はでれでれ娘に頬ずり、すっかり目尻が下がっている。しばらくそうして幼児言葉で睦みあい、ふと、怪訝そうに目を戻した。
「おい。どうした、その手は」
 ダドリーは軽く手を握り、さりげなく拳を引っこめた。「──別に」
「怪我しているだろ。手の平に血が──」
「なんでもない」
「──だが」
「あんたが心配することじゃない」
 小指の下のこすれた跡を、副官は見逃さなかったらしい。厳しい顔つきで、乗り出した。「だが、収監後の怪我だというなら──」
 マリーベルがむずかって、副官の腕から滑り出た。
 鉄格子に寄りかかり、ぼけっと見ていたコリンを引っぱり、隅の方へと駆けていく。
 二人並んでしゃがみこみ、鉄格子の中を覗いている。「あれえ? いないね」と、こちょこちょお喋り。スズメを探しているらしい。
 真面目な顔を寄せ合った子供の姿を見届けて、ダドリーは副官に目を向けた。「で。なに。なんの用?」
「──あ、ああ。そうだった」
 同じく目を細めていた副官が、我に返って振り向いた。
 にへら、とだらしなく満面の笑み。
「その節は、君のおかげで助かった! まさか娘を、あそこまで必死にかばってくれるとはなあ!──いやあ、ありがとう! ありがとうっ!」
 はっし、と手をとり、ぶんぶん上下に振っている。
 一方的かつ熱烈な握手を受けながら、ダドリーは顎で鉄格子を指した。「だったら出してよ。恩人だろ?」
「それとこれとは話が別だ」
 ぱっ、と副官が手を離した。
 絶対ダメ、と口を尖らせた顔つきで却下。情にはほだされない性分のようだ。
 ダドリーは肩をすくめた。
「はいよ。了解。あんたにも立場があるもんな」
 副官が不審そうにすがめ見た。「──悠長だな」
「公僕が職務に忠実なのは結構なことだ」
 銀縁めがねの奥の目は、まだ真意を値踏みしている。ダドリーはげんなり癖っ毛を掻いた。
「ほいほい囚人が逃げたりしたら、街の治安が保てない」
 副官が面食らったように眉をひそめた。
 へえ、と軽く目をみはり、にやりと笑って肩をそむける。「──出してはやれないが、その代わり」
 持参した手荷物を、なにやらゴソゴソ漁っている。
 ほい、と何かをとり出した。上には内緒だからな? と片目をつぶる。
 ダドリーは小さく嘆息した。
「あのさ、そういうのも嬉しいけどさ」
 片手にさげた二本の酒瓶。もう一方には、ツマミとおぼしき紙袋。
「どうせなら、腹に溜まるもんがよかったな」
「なんだ、腹が減っていたのか」
 ダドリーは通路の隅を顎でさす。副官がそちらをすがめ見た。手にした瓶を床に置き、怪訝そうに歩みよる。
「──なんだ、これは」
 薄暗い通路の片隅で、膳がひっくり返っている。
「見てわかんない? 俺の飯だよ」
「なぜ飯が、こんな所に」
「あんたの上官にやられたの。あのいけ好かないナマズひげ、飯もってきた牢番をいきなりぶっ飛ばしやがってよ〜。差し入れまで踏んづけやがって」
 副官はゆっくり膝を折り、ひっくりかえった食事の膳を、慎重な手つきで脇にどけた。靴跡のついた、ひしゃげたパンをつまみあげる。「飯ってまさか、これだけか?」
「カビてんだろ、そのパンさ」
 ダドリーはうんざりと、鉄格子に腕をもたせた。「問題じゃね? そーゆーの。いくら囚人の飯でもさ。それとも、こっちじゃ、どこもこんなもんなわけ?」
 副官は薄暗い通路に立ち尽くし、じっとパンに目を落としている。足元には、ひっくりかえったスープの皿と、ひしゃげた包みの端から覗く、踏み潰された握り飯。うつむき、背を向けているので、その表情はわからない。驚いているのか、困っているのか、それとも、くすくす笑っているのか──。
 さあな、とやがてパンをほうって、さばさば副官が顔をあげた。「気にしたこともなかったな、檻の中の飯のことまで」
 軍服の懐を探り、「コリン」と男児を呼びつけた。
「お前、ティムの店んとこまで行って、パンと牛乳を買ってきてくれ」
「──ええーっ!?」
 とたんコリンは不服げに、ぷう、と頬を膨らませる。「なんで、ぼくがーっ?」
「釣り銭で、お前の好きな菓子、買っていいぞ?」
 ぱっと顔が輝いた。
「わかった! ぼく行ってくる!」
 行こっ! マリーベル! と振りかえり、二人の子供が手をつないで通路を駆け出す。
「──お、おい!」
 ダドリーはあわてて振り向いた。「子供だけで行かせる気かよ!」
「そうだが?」
「──そうだがって!」
 焦れて、ダドリーは気色ばむ。「あいつら、あのナマズに捕まったら!」
「指揮官殿なら、本部に行かれた」
 副官は事もなげに肩をすくめた。「何を心配しているんだ。大体、ここには誰もいない。いたとしても浮浪者くらいだ」
 はっ、とダドリーは動きを止めた。「──浮浪者、、、?」
「ああ、大丈夫だよ。あいつらは大人しいから。むしろ逃げるさ、子供を見れば」
「じいさんは!」
 副官が面食らって口をつぐんだ。
 ダドリーはじれったい思いで鉄格子を叩く。「ほら! いるだろ! 耳の聞こえない、腰の曲がった! 俺の世話をさせていた──」
 副官がいぶかしげにすがめ見た。「……あんたの世話をしたというのか? その聾唖の老人が?」
「知らないのか! 軍で雇っている人員だろう」
「いや、囚人の番なら兵がするが、耳の不自由な者はいないはずだ」
「なら、浮浪者に囚人の世話をさせることは?」
「まさか。なんのために?」
 副官は身じろいで、通路に視線をめぐらせた。「仮に、あんたの言うように、浮浪者が番をしていたとしても、だ。そんな収入があるのなら、そもそも、こんな所で寝泊りしてやしないんじゃないか?」
「そうだけど! でも、飯を持ってきたんだ、確かに、ここに──」
「妙だな」
 副官が目をそらして顎を撫でた。
 思案顔で目をすがめる。「──一度話すか、浮浪者たちと」
 ダドリーは口をつぐんだ。副官の口調は平静だが、眉をひそめた横顔は険しい。彼は本当に知らないのだ。それを不審に思っている。つまり、これ以上の追求は、しても無駄ということだ。
 ダドリーは溜息まじりに目をそらした。
「にしても、あんた、子供に甘すぎだろ。簡単に金をやってたら、手がつけられない悪ガキになるぞ」
 思案をめぐらせていた副官が、ふと我に返って顔をあげた。
 にやり、と不敵に笑いかける。「大丈夫。ティムは俺のダチだから。ちゃんと適当に見繕ってよこすさ。あんたの飯一緒にな」
 軍靴の足元に手を伸ばし、床から膳を拾いあげる。鉄格子の前まで戻り、膳を裏がえして通路に置いた。よっこらせ、と腰を降ろして、身をよじって酒瓶をとる。
 その手を、鉄格子の中に突っこんだ。
 どうも、とダドリーは瓶を受けとり、戸板を引き寄せ、あぐらをかく。「これ、飯食った後でもらうわ。今、空きっ腹でキツいから」
「ご自由に」
 副官は肩をすくめて、ツマミをとった。
 監獄と通路を隔てる鉄格子を挟んで向かいあう。
 鉄格子のはまった通風孔から、昼の日ざしが射していた。
 ぬるい風が時おり吹きこみ、鳥のさえずりが聞こえてくる。牢獄の古い石壁は、昼陽にひなびて静まっている。
 めがねの副官は、ヒースと名乗った。それぞれツマミの乾き物を食い、片手で握った酒瓶をあおる。
「あの子、あんたを迎えに行ったって?」
 結局あけてしまった酒瓶をあおり、ダドリーは非難まじりにヒースを見た。「いつも、送り迎えさせてんの? まだ、あんな小さい子に」
「まさか。あの日は特別さ。本部に呼ばれちまってね」
「──ああ。軍の本部は、街の外にあったっけな」
 街中では、施設に要する広い敷地が確保できず、本部は街の外に造られたはずだ。
 くい、とダドリーは酒瓶をあおる。「なんかあった? 国境警備隊の副官が、わざわざ呼びつけられるような用件が」
 あぐらで膳に座ったヒースが、ちら、と窺うように目をあげた。
「ならず者の一団が、街を襲撃しようと目論んでいる──」
 ふと、ダドリーは手を止めた。
 にやり、とヒースは口の端を引きあげる。
「そういう通報が、本部にあってね。どうやら見られていたようだな、お仲間と集合しているところを。──で、俺がいなかったもんだから、娘が捜しに出ちまったんだよ、門の外に」
 この物騒な通報を知り、ヒースは急ぎ街に戻った。だが、愛娘は家におらず、街中捜しまわるも見つからない。もしや、外に──と気がついて、あわてて街門に駆けつけると、案の定、娘はそこにいた。だが、どうも様子がおかしい。暮れなずむ草原に、不審な一団が並びたち、なにやら物騒な雰囲気だ。駆け引きのさなかに踏み込んでしまったことに遅まきながら気がついて、急きょ場を読み、一計を案じた、という次第。
「通報したのは、旅装の三人組らしいって話だが」
「らしいって?」
「消えちまったようなんだよな、通報したその直後に」
「へえ。妙だな。褒美もとらずにいなくなる? 普通」
「妙といえば、消息不明だった哨戒部隊も、次の日、ボロボロの成りで戻ったとか」
 ふと聞き咎め、ダドリーは目を細める。「……へえ。哨戒部隊がね」
 ヒースが片眉をもちあげた。
「なに。興味ある? 哨戒部隊に」
 ダドリーはもそもそ目をそらす。「──や。べっつに?」
 ラルッカたちを尾行けてきた、あの哨戒部隊に違いなかった。彼らが本気で足掻きさえすれば、縄は切れるように細工していた。それで一瞬、通報したのは、あの部隊かとも思ったが、傭兵隊を仕切るカーシュは、彼らの追撃を織りこんで、トラビア襲撃を計画していた。そうなると、通報者に心当たりがない。だが、軍への通報は、現にあった。哨戒部隊でないというなら、それを通報したのは一体──?
 ふと、ヒースが見返した。「あっ? もしや、あんたらの仕業か? 哨戒部隊の行方不明は」
「そんなことより、礼に来るの、ちょっと遅くね?」
 そそくさ、ダドリーは話を変える。
「──そう言うなよ、ご領主さま」
 ヒースは舌打ちして顔をしかめた。
「俺だって、探してはいたさ。なにせ娘の恩人だからな。礼の一つも言わないでどうする。だが、指揮官殿が一体どこへやっちまったものやらで」
 辟易とした顔で嘆息する。
「だってよ。あんたみたいな領主なら、てっきり領邸だと思うだろうが。お茶でも飲んで優雅に軟禁ってのが、貴族さまなら総じて相場だ。それで領邸の方に出向いてみれば、館内を捜すどころか、門から先にも入れやしない」
「──あんたが締め出されたっての?」
 怪訝にダドリーは振り向いた。「けど、あんた、軍人だろ?」
 ヒースはあいまいに視線をめぐらせ、所在なげに頬を掻いた。「封鎖中、なんだよな」
「ラトキエ攻めてる最中に? それじゃ、報告一つにも不便をきたすぞ」
「あの指揮官殿は秘密主義でね」
 ヒースは投げやりに首をまわした。「こっちには、さっぱり情報をくれん。また、何かこそこそやってるようだが──。それで、街の監獄の方も一応覗いてみたんだが、やっぱり、あんたはどこにもいない。それで、どうしたもんかと思っていたら、妙な奴がいるって話を、うちの娘が仕入れてきてな。それで、ひょっとしたら、と思ったわけさ。まさか、こんな目と鼻の先に、あんたがいるとは思わなかったが」
「どこなの、ここは」
「脱獄の下調べか?」
 ヒースが思わせぶりに片眉をあげる。
 うんざりダドリーは顔をしかめた。「あのな。普通に気になるだろ、こんなふうにぶち込まれれば」
「円塔の下だよ」
 あっさり副官は白状した。
 ぽかん、と口をあけたダドリーに、面倒そうに片手を振る。「だから、あったろ、街壁の所々に」
 トラビアはいわゆる要塞都市で、この地を治めるディール領家は、領邸も外壁も、昔の建造物を利用している。そのためディールの領邸は、かつてこの地を席巻していた豪族が建てた城館だし、苔むした外壁には、そのいかつい頂上に、弓兵が身を隠せるノコギリ型の回廊──ツィンネがある。そして、外郭の所々に、丸い見張り塔があったはずだ。
「ここは昔の監獄だ。まさかこことは、さすがに気づきもしなかった。つか、わかるわけがねえっての。だって、今どき地下牢でもないだろう。日々の配膳一つとっても不便をきたすし、こう言っちゃなんだが不衛生だ」
 まさにその円塔の住人たるダドリーは、微妙な顔で固まった。「……。あのさ。一応訊いていい? なら、普通に使う監獄は?」
「街外れにあるよ、普通にな」
「……。あっそう」
 つまり、ものすごい嫌がらせってことだ。
 どうりで囚人の気配がないわけだ、とダドリーは溜息まじりに頭を掻く。「なー、ヒース。俺、頼みがあるんだけどな」
「──頼み?」
 とたん顔をしかめた副官を「俺って恩人だったよね?」とあてつけがましくチラ見する。
 ヒースは額をつかんで嘆息した。「……はいはい、そうだったな、恩人さん。だが、だからといって、無限に聞き入れるわけにはいかないぞ」
「いくつまでなら、いい?」
 お目目キラキラ、すかさずダドリーは食い下がる。
「……。なら、三つまでな。それ以上は無理」
 きっぱりヒースは首を振る。
「んじゃ、早速だけど、一コめ、いい?」
 言うなり勢いよく、ダドリーは顔を振りあげた。
「めしっ!」
 涙目、なおかつ、真面目この上ない真剣なまなざし。
 ヒースは気圧され、たじろいだ。「──わかった。内緒で何か差し入れるよ」
「だったら俺、アレがいい!」
 ダドリーはがっついて指をさす。その先には、あの牢番が持ってきた、踏まれて潰れた竹の葉の包み。
 にっこり笑顔で、ダドリーはわくわく手を組んだ。
「いっぺん食ってみたかったんだ〜。ああいう葉っぱでくるんである奴ぅ!」
「──あんたはガキか。中身はただの握り飯だぜ。というか、あんた、本当にご領主様かよ」
 ヒースはげんなり肩を落とした。「まあ、差し入れをするのは構わんが、バレるんじゃないか? ごみが出るだろ」
「大丈夫。そこに窓あるからっ! 食い終わったら、そこから捨てとく」  
「了解。で、二つ目は?」
「俺の財布、返してくんない?」
「外には出られないのに?」
「だから、だよ」
 通路に転がるつぶれたパンを、ダドリーは顎の先でさす。「あれっぽっちじゃ食い足りねーし。ここじゃ、水の一杯も飲めねえんだぜ?」
「つまり、番兵に渡す手間賃、、、ってことか。──わかった。なんとかしてみるよ」
 ヒースはこきこき首をまわして「それで?」と促し、目を向ける。「あとひとつだ。三つ目はどうする?」
「……うーん。急に言われてもな」
 ダドリーは腕を組んで首をかしげた。
「こうなると、案外思いつかないもんだな。──うん。まだいいや。とっとくわ」
 ご自由に、とヒースが身をかがめ、空き瓶をつかんで腰をあげた。
「なるべく早く、まともな監獄に移れるよう手配する。偶然あんたを見つけたことにでもすればいいだろう」
 ちら、とダドリーは、戸板のあぐらから目をあげる。
「地下牢ある? そこ」
 ヒースは面食らい、それを思い浮かべるように顎をなでた。「──そんなに地下が好きなのか? まあ、捜せば、ないこともなかろうが。監獄の地下室というのも」
「街の外れなんだよな? 監獄の立地って」
「大抵は街の奥まった、国境の方だな」
「いいや。俺、ここでいい」
 あぜんとヒースは見返した。「どうして」
 ダドリーは仄暗い監獄に、あぐらで視線をめぐらせる。「なんかさ、こういう石壁って涼しいんだよ意外とさ。街の中って、建物がたてこんで暑そうじゃん?」
「だが、ネズミやトカゲが出るだろう?」
「あ、そーゆーの俺、余裕だから。まったく全然問題なしっ!」
「……。やっぱり、相当変わってるな、あんた」
 ま、あんたがいいなら、いいけどよ、とヒースは呆れ顔で肩をすくめた。
 
 
 

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