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「……なんだ、まだ夕方ではないか」
《 ものしりフクロウ 》は、とても、とても、不機嫌でした。
「なんだ、おまえは。起こすでない。ワシは、まだ眠いのじゃ」
そういって、茶色い翼を、シッシ、と振って、あしらいます。
「そこを、なんとか!」
まおくんは、必死で、食い下がりました。
だって、早くしないと、夜になってしまいます。暗い森は、恐いです。
寝ていたところを起こされて、《 ものしりフクロウ 》は、たいそう、ご機嫌斜めです。けれど、まおくんが、あんまり熱心に頼むので、しぶしぶ話を聞いているのです。
《 ものしりフクロウ 》が、あんまり、ムッとしたままなので、まおくんは、がっかりして、肩を落としました。
「いくら、森の賢者でも、知らないことって、あるよねえ……」
すると、
「笑止! ワシに知らぬことなど、ありはせんわ!」
《 ものしりフクロウ 》は、バタバタ茶色の羽を羽ばたかせ、すぐに、一番下の枝まで降りてきました。もの凄い剣幕です。今にも、頭を突っつかれそう。
《 ものしりフクロウ 》は、ものしりですから、プライドが、とっても高いのです。だから、バカにしては、いけません。すぐに、怒ってしまいますから。
ちなみに、ざゆうのめいは 「 得意満面 」 です。
「しかし、ワシならば、こんな森、どこへ行くのも、ひとっ飛びじゃからのう……」
黄色いくちばしを、ぱくっと開けて、《 ものしりフクロウ 》は、くわっ、と、大きくあくびしました。まだ眠いようです。《 ものしりフクロウ 》は、ものしりですが、夜行性なのが、玉にキズです。
「地面なんぞを歩いたりはせんから、そもそも、出口なんてものは、ワシには無用の代物なのじゃ。じゃが、アレならば、里にも行くから、あるいは、知っておるやもしれんのお」
一人で物々しくうなずいて、《 ものしりフクロウ 》は、真ん丸の目玉を、キョロリと一度動かしました。
「しかし、あやつは、のろいしのう……」
小首をかしげて、一人で、ぶつぶつ言っています。
まおくんも一緒に首をかしげていると、《 ものしりフクロウ 》は、キョロキョロ、森を見回しました。
ばさり、と、大きく翼を広げ、バサバサバサ、と、三度、はばたき。
「仕方がないのう。すこ〜し、ここで待っておれ」
よいこらせっ! と、枝を離して飛び立つなり、《 ものしりフクロウ 》は、真っ暗な森の奥深くへと、飛んで行ってしまいました。
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