ぐるぐるの森 

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 バキバキとがった音をたて、小さな木々が、あっという間に、なぎ倒されていきます。
 まおくんは、驚いて立ち上がりました。
 やってくるのは、黒くて大きな熊でした。あの毛皮を被ったら、まおくんが6人くらいは、すっぽり入ってしまうかもしれません。
 まっ黒の大きな毛皮は、どんどん、こっちに近付いてきます。ものすごいスピードです。あの大きな熊は腹ぺこで、" えさ " を見つけて、喜んで駆けつけたのかもしれません。
 大きなお口を、がおっ! と開けたら、まおくんなんて、頭から、ペロリと、ひと飲みでしょう。
 けれど、まおくんは、逃げられません。足がすくんで、動けないのです。
 まおくんは、ぎゅうぅっと、固く目をつぶりました。
 
 ああ、どうしよう!
 ぼく、クマさんに食べられちゃう!
 きっと、この森のオキテでは、言うことを聞かない悪い子は、クマさんに食べられちゃうことになってるんだ!
 
 黒くて大きなその熊は、どんどん、どんどん、近付いてきます。
 やがて、まおくんの前で、キキィ──ッと、急ブレーキをかけました。
 体は前を向いたまま、顔だけ、ひょい、と振り向いて、まおくんの顔を、ぎょろり、と見ます。
 そして、
「困っているのは、あんたかい?」
 素晴らしく張りのある、低い声でした。
 
 それは、《 オレがやるクマどん 》でした。
 頭のてっぺんから、足の先まで、黒くてツヤツヤの毛皮です。どうやら、あの《 ものしりフクロウ 》が、森の奥深くから、呼んで来てくれたようなのです。
 まおくんは、わけを話しました。
「ぼ、ぼ、ぼく、森の出口を探してるんだけど……」
 《 オレがやるクマどん 》は、とてもとても強そうなので、ほんのちょっぴり、逃げ腰です。でも、こうして、わざわざ来てくれたので、笑顔は、ちゃんと作ります。礼儀ですから。
 《 オレがやるクマどん 》は、困った顔で、森の中を見回すと、ぶっとい腕で、黒毛皮の頭を掻きました。
「……けど、オレは、里に行ったことなんて、ないしなあ?」
「え? そうなの?」
「うん。ない」
 《 オレがやるクマどん 》は、きっぱり言って、うなずきました。
 どうやら、本当に、行ったことは、ないらしいです。
 けれど、それならば、どうして、《 ものしりフクロウ 》は、《 オレがやるクマどん 》を呼んできたりしたのでしょうか。
 一人と一匹は、「 変だなあ……? 」 と、首をかしげます。
 けれど、肝心の《 ものしりフクロウ 》は、待てど暮らせど、一向に戻ってきませんし、いつまでも、一人と一匹で、そうしていても、仕方がありません。
 やがて、しびれをきらした《 オレがやるクマどん 》は、大きな体を、のっそり返すと、「 じゃあね 」 と、まおくんに手を振りました。
 
 すると、

 
 
 
 
 
 
 
 

 
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