トモダチ 〜 さきちゃんと ぼく 〜  ( / 5 ページ )
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 昼には、いつも、少しだけ、鼻を外に出して、見張ってる。
 怪しい奴がいないか、誰か帰ってこないか。
 ぼくの仕事だ。
 
 ぐったりのびて、夏を越し、
 さんまのおいしい秋を越し、
 みんなの足を掻き分けて、コタツに潜り込む冬を越し、
 
 そして、さきちゃんは、中学生になった。
 " ぶかつ " が忙しくなって、 " がっこう " から、中々戻って来られない。
 だから、最近では、お散歩は、だいたい、ママと行く。
 本当は、さきちゃんと行く方が、好きなんだけどな、ぼく。
 でも、じっと我慢。
 さきちゃんは、忙しいのだ。
 それに、ぼく達は " トモダチ " なのだ。だから、分かってあげないと。
 
 今だって、さきちゃんは、お出迎えに行けば、苦しいほど抱きしめてくれるし、学校がお休みの時には、一日中だって遊んでくれるし、お散歩にだって、一緒に行く。
 そういう時には、自慢の尻尾をぶんぶん振って、歩くんだ。
 
 柔らかい草を蹴って、フリスビーで遊ぶ。
 さきちゃんが笑う。ぼくの頭を、優しく撫でる。
 さきちゃんが笑っていれば、ぼくは、幸せ。
 さきちゃんは、とっても、かわいい女の子になった。
 ぼくの自慢のさきちゃんなのだ。
 
「あれ? 香坂じゃん」
 ……出たな。じゅんぺい。
 さきちゃんの顔が、何故だか、ポッと赤くなる。急に、そわそわ。
 はやぶさ号を連れたじゅんぺいが、「よお」と声をかけて、近付いて来る。
 ムカついたから、唸ってやった。こっち、来んなよ。
 ぼくは、なんか、お前が嫌いだ。
 
 さきちゃんは、もっと、忙しくなり、お散歩は、ママの仕事になった。
 
 
 

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